テントやタープを固定するのにペグは必須の道具です。ペグひとつとっても、さまざまな種類や長さがあり、購入時にどのようなペグを選べば良いのか迷う方も多いと思います。
今回は丈夫で万能な鍛造(たんぞう)ペグの特徴やメリットデメリット・商品レビューを交えてご紹介するとともに、比較的安価な鋳造(ちゅうぞう)ペグとの違いについて紐解いていきたいと思います。
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鍛造ペグとは?鋳造ペグとの違い!
鍛造(たんぞう)と鋳造(ちゅうぞう)はどちらも金属の加工方法の呼び名です。
溶かした金属を型に流し込んで冷やして固める鋳造に対して、鍛造は熱した金属を金型などで圧縮成形することで強度が高く品質を長く持つことができる技法となります。
また、中華製などの品質の低い安いペグはフック部分を雑な溶接で取り付けているものもあります。場合によっては溶接の部分が折れたりすることもあるので注意が必要です。
鍛造ペグの主な特徴
強度・耐久性が高い
鍛造ペグは強度があり硬い石でも砕いて打ち込めます。
石が混じった硬いフィールドに強く打ち込んでもペグが曲がってしまう心配はほとんどありません。曲がったり破損したりすることがないため半永久的に買い替える必要はないといっても過言ではありません!
地面への固定力が高い
鍛造ペグは太さ・強度があるので長いペグでも深くまで打ち込むことが可能です。太いペグを深く打ち込むことで地面への固定力が高くなります。ペグの固定力が高いことでテントやタープが風であおられても抜けにくく安心感があります。
鍛造ペグは幅広いキャンプサイトやタープで使える!
キャンプサイトは数多くありますが、地面の状況もさまざまです。ペグの食い込みが良い芝のサイトであればある程度どんなペグでも使用できますが、硬い石がゴロゴロしている河原などは弱いペグでは曲がって打ち込めないといったケースもあります。
- 渇いた土
- 芝
- 河原(小石や砂利)
幅広いフィールドで力を発揮する強度の高い鍛造ペグは大きめのテントやタープの設営にとても重宝します。
- 砂浜
- 雪
鍛造ペグが不向きな砂浜や雪のフィールドで鍛造ペグを使用する場合は50cmの長いペグを使用するなど状況に応じて使い分ける必要があります。
ヘッド部分が広く平らで打ち損じが少ない
ピンペグの場合は滑って力が伝わりにくくなるほか、チタンペグなどはヘッドが狭く打ち損じてしまうことがあります。
滑ったり打ち損じたりすることでハンマーを振る回数が多くなり、ペグ打ちが大変な作業になってしまいます。
その点、鍛造ペグはヘッドの打撃面が広いことでハンマーでの打ち込みの力を均等にし、ペグに無駄なく力を伝えることができるためペグ打ちの作業を楽にすることができます。
鍛造ペグのデメリット
鍛造は強度が強いというメリットがありますが、デメリットもあります。
購入時にはデメリット面も認識したうえで検討しましょう。
デメリット①重たい
鍛造ペグはスチール製で太く耐久性がありますがそれと引き換えに重たいというデメリットがあります。
1本あたりの重さはたいして気にならないですが必要な本数を揃えるとかなりの重さになってしまいます。
キャンプスタイルによって鍛造ペグは不向きな場合があります。荷物の軽量化を重視するバックパックキャンプやツーリングキャンプの場合にはチタンペグを検討すると良いでしょう!
デメリット②値段が高い
鍛造ペグは他のペグと比べて値段が高く人気の製品で1本あたり400円~500円となっています。必要な本数を揃えるとそれなりの出費になってしまいます。
鍛造ペグの違い!人気5種類を使い比べ(比較)
各社から販売されている鍛造ペグですが違いはあるのでしょうか?
実際には大差はなく、どれもしっかりと強度があり固定力は抜群で大きめのタープが風であおられても抜けることがなく使用できました。
特にかなりの回数を使用しているスノーピークのソリックステーク(ソリステ)と村の鍛冶屋のエリッッゼステーク(エリステ)はどんなシーンでも活躍してくれてペグが打てなくて困るといったことは一切ありません。
今回はそのソリステ・エリステに加えて人気の高い鍛造ペグ3種類を使い比べて紹介しています。
- snow peak ソリッドステーク 30cm
- 村の鍛冶屋 エリックステーク 28cm
- ogawa TANZO PEG 28cm
- IWANOペグ 30cm
- Coleman スチールソリッドペグ 30cm
snow peak ソリッドステーク
スノーピークのソリッドステークは、アルミやプラッチック製の軟弱なペグしか出回っていなかった時代に生まれた鍛造ペグの一つです。「ペグは消耗品」といった概念を変えたほど、丹念な製造工程を経て生まれた最強ペグとも言われています。
滑りにくい円柱型ヘッド
ヘッド部分は強く地面に打ち込めるように円柱型の形状をしており、ハンマーなどで強く打ち込んでも滑りにくい仕様になっています。
計算された抜きやすさ
また、ペグの丸穴はスノーピークのペグハンマープロのフックがピッタリと差し込めるようになっているので、地面からの抜きやすさは抜群。フック部分も地面に刺さるようになっているため、ロープの抜けやすさを防いでくれます。
長く使える仕様
万が一、ペグが曲がってしまっても石の上でハンマーなどを使って叩いて直すこともできるので長期的に使用するうえでは扱いやすく、安心して使用できる商品です。
ソリッドステーク30(R-103)のスペック
長さ | 300mm |
---|---|
ヘッド部(サイズ) | φ15mm |
打込み部(サイズ) | φ8mm |
重量 | 180g |
材質 | スチール55C鋼材 |
塗装 | 黒電着塗装 |
製造産地 | 新潟県燕三条 |
使用した感想
打ちやすさ
ヘッド部分が大きいため打ち損じが少なく、ペグハンマーの力がストレートに伝わる感触があります。打ち込んでいくなかで早い段階で地面内の石にあたっても砕いて深く打ち込むことができるほどの耐久性。
安定性
比較した鍛造ペグの中では2番目の細さですが、しっかりと食い込み抜けにくいので安心して使用できました。公式ページでも紹介があるように、フック部分が大型なのでヘッド部分まで打ち込めばフックも差し込まれるようになっており、更に安定感を増します。
抜きやすさ
打ち込み部分はほぼ円状なので、ヘッド部分を捻ると比較的簡単に抜くことができます。今回の5本のなかでは抜きやすさは高い方だと感じました。鍛造ペグの中でも180gと軽量なのは嬉しい点です。軽量でありながらも強度や耐久性はしっかりとあり食い込みが良いので間違いなくおすすめできる鍛造ペグです。
ソリッドステーク長さのラインナップ
長さ | ヘッド部 | 打込み部 | 重さ | |
---|---|---|---|---|
ソリッドステーク20(R-102) | 200mm | φ12mm | φ6mm | 75g |
ソリッドステーク30(R-103) | 300mm | φ15mm | φ8mm | 180g |
ソリッドステーク40(R-104) | 400mm | φ15mm | φ10mm | 330g |
ソリッドステーク50(R-105) | 500mm | φ15mm | φ12mm | 540g |
ソリッドステークの金額
30cm 1本 495円
30cm 6本セット 2948円 1本あたり 491円
20cm 1本 385円
20cm 6本セット 2660円 1本あたり 443円
村の鍛冶屋エリッゼステーク
鍛冶の本場である新潟県燕三条に拠点を構える「村の鍛冶屋」から発売されているエリッゼステーク。エリッゼとはイタリア語で楕円を意味しており、軸部分が楕円形をしていることからこの名がつきました。
強靭なつくり
鋼材を約1100度まで熱し、約1トンという強力な力で一気に断面を楕円形に形成した鍛造ペグです。熱された鋼材に大きな圧が加わることで強度がさらに増し、強靭なペグを生み出しています。
幅広い使い勝手
エリッゼステークの長さは4種類あります。
18㎝、28㎝、38cm、48cmと幅広い長さを展開しているので、テントやタープの大きさによって使い勝手が良いのが特徴です。
地中で回転しづらい形状
名前の由来となっている通り、軸部分が楕円の形状をしています。そうすることにより、地中でくるくると回転しづらく耐久力が増します。
エリッゼステークMK-280Kのスペック
長さ | 280mm |
---|---|
ヘッド部(サイズ) | 13×17mm |
打込み部(サイズ) | 9×7mm |
重量 | 約192g |
材質 | S55Cスチール |
塗装 | カチオン電着塗装 |
製造産地 | 新潟県燕三条 |
使用した感想
ソリステ同様にヘッドが大きく打ち込みやすいです。ハンマーで打った際の打撃の力がしっかりとペグに伝わり深く打ち込むことができます。
ペグの軸部分が楕円形になっているのが特徴で、地中で回ることなく高い固定力があります。タープやテントもしっかり支えてくれる安定した耐久力の持ち主です。
また、抜く時にはペグを90℃まわすことで地面に隙間が出来て抜きやすくなる優れた特徴です。価格も今回紹介する中では安いのでとてもおすすめできる鍛造ペグとなります。
エリッゼステーク長さのラインナップ
長さ | ヘッド部 | 打込み部 | 重さ | |
---|---|---|---|---|
エリッゼステークMK-180K | 184mm | 10×12mm | 7×6mm | 75g |
エリッゼステークMK-280K | 280mm | 13×17mm | 9×7mm | 約192g |
エリッゼステークMK-380K | 380mm | 13.5×16mm | 11×9.5mm | 約346g |
エリッゼステークMK-480K | 480mm | 13×17mm | 10.5×9mm | 約369g |
エリッゼステークの金額
28cm 5本 1870円 1本あたり 374円
28cm 8本セット 2992円 1本あたり 374円
18cm 6本セット 2046円 1本あたり 341円
18cm 8本セット 2728円 1本あたり 341円
IWANOペグ
愛知県に本社をおくIWANOは、90年以上の歴史と実績がある鍛造工場と出会い何度も交渉を重ねて鍛造ペグの製造を実現しました。キャンパーの声を拾い上げながら、鍛造職人が一つひとつ丁寧に作り上げる日本伝統のペグです。
追求された強度
ペグの製造過程では、高温状態から一気に冷却させる焼入れ加工を施しています。焼入れを加えることで強度・耐食性・耐疲労性がさらに強くなり、硬い地面や石が多いところでも丈夫で頑丈なペグを打ち込むことができます。
回転しづらい形状
ペグの軸部分は角柱の形状をしており、地中で回転しづらく固定力を長時間持続することができます。また、支柱部分に2本の溝が入っているので地面にしっかり食いつき、柔らかい地面や強風などさまざまな状況下でもペグを安定させてくれます。
IWANOペグのスペック
長さ | 300mm |
---|---|
ヘッド部(サイズ) | 16×16mm |
打込み部(サイズ) | 8×8mm |
重量 | 約192g |
材質 | スチール |
塗装 | カチオン電着塗装 |
製造産地 | 日本 |
使用した感想
打ちやすさ
ヘッドは広く打ち損じが少なく打ち込みやすいです。他のペグと比べ打ち込み部分がやや細めなのでスムーズに地中に入っていく印象です。
安定性
その反面で抜く時にはクルっとまわすのに他のペグと比べて多少の力が必要になります。もう一本のペグをヘッドの穴に差し込んで回す方法を使うことで解消されます。また、ヘッド部分のツメも他のペグには形をしていて特徴的です。爪部分に蚊取り線香をかけたりすることができるので夏場のキャンプ時には便利だと思います。
IWANOペグの金額
8本 3960円 1本あたり 495円
16本セット 6990円 1本あたり 436円
32本セット 13900円 1本あたり 434円
70本セット 29900円 1本あたり 427円
ogawa TANZO PEG
Ogawaはエリッゼステーク同様、鍛冶の本場である新潟県燕三条で製造されおり、品質は最高級。
硬度と強度の持ち主
大きな特徴は、硬度と強度があるクロムモリブデン鋼を使用していることです。自転車や車のフレームなどにも使用されている性質でかなりの強度を持った材質です。
サイズによる使いやすさ
サイズ展開は18cmと28cmの2種類。長さによってテント用とタープ用に用意することができ、使い勝手が広がります。
大きなヘッドで安定した打ち込み
ヘッド部分の面積は大きく、ハンマーで打ち込む際に大きくぶつかって力が均等にペグに伝わります。また、ヘッドが大きいことで掴みやすく、ペグを抜く際も地面から簡単に抜くことができます。
ogawa TANZO PEG 28のスペック
長さ | 28cm |
---|---|
ヘッド部(サイズ) | – |
打込み部(サイズ) | – |
重量 | 約215g |
材質 | クロムモリブテン鋼 |
塗装 | – |
製造産地 | 新潟県燕三条 |
使用した感想
打ち込みやすさ、抜きやすさ
ヘッドが大きいのが特徴的で、面積が大きいためハンマーで打ち込みやすいです。打ち込み部分の太さが一番太く重みもあるので地面にグイグイと入っていきます。
重量感
打ち込みや固定力・抜きやすさなど使用感はエリステやソリステ同様に申し分ありません。が、今回のペグの中では一番重たくて値段が高いのが少しネックです。
素材がクロムモリブテン鋼となっており硬度が高い素材らしいので強度はかなりありそうです。重量が大きいので、地面との安定感は抜群なため、大きめのタープやテントでも安心して設営できます。
ogawa TANZO PEG長さのラインナップ
長さ | ヘッド部 | 打込み部 | 重さ | |
---|---|---|---|---|
ogawa TANZO PEG 18 | 18cm | – | – | 約100g |
ogawa TANZO PEG 28 | 28cm | – | – | 約215g |
ogawa TANZO PEG金額
28cm 10本 6900円 1本 690円
18cm 10本5800円 1本 580円
Coleman スチールソリッドペグ
キャンプギアを数多く扱うコールマンのスチールソリッドペグ。表面は凸凹とざらつきのある触り心地をしています。
コールマン製品をしようしている方は、ギアに合わせてコールマンのペグを使用するという方も多いです。
平らなヘッド
性質はスチール製でできており、ヘッド部分が平らになっているのでハンマーで打ちやすい形状です。
凹凸のある表面
表面にざらつきがあり、地面から抜けにくいようになっています。ざらつきがあるので傷なども目立ちにくいデザインです。
スチールソリッドペグ30cmのスペック
長さ | 30cm |
---|---|
ヘッド部(サイズ) | 約2.8×1.2mm |
打込み部(サイズ) | φ9mm |
重量 | 約130g |
材質 | スチール |
塗装 | – |
製造産地 | 中国 |
打ちやすさ
打ち込みやすさはヘッドが狭く今回の比較しているペグの中ではやや劣ります。力の伝わり方や岩を打ち砕くパワーもこの中では一番劣るように感じました。
安定性
固定力や抜きやすさはソリステやエリステ同様に申し分ありません。今回比較した中では唯一製造元が中国製という点が気になります。表面はザラついた加工となっていて、傷などが目立ちにくいのが特徴です。
Coleman スチールソリッドペグ長さのラインナップ
長さ | ヘッド部 | 打込み部 | 重さ | |
---|---|---|---|---|
スチールソリッドペグ20cm | 20cm | 約2.2×0.9cm | φ7mm | 約100g |
スチールソリッドペグ30cm | 30cm | 約2.8×1.2cm | φ9mm | 約190g |
Coleman スチールソリッドペグ金額
28cm 10本 6900円 1本 690円
20cm 1本あたり 318円
鍛造ペグの長さの選び方
鍛造ペグは約20cmから50cm前後の長さが販売されています。
メーカーによって長さは多様にありますが、一般的には30cm程度のペグが使いやすく安心です。長さによって固定力や抜きやすさも変わってくるので設営するテントやタープの種類や大きさによって使い分けると良いです。
- 自立するテント
- 小型のテント
- ティピーテントなどペグに荷重がかかるテント
- キャンピー部分などの張り綱をかける箇所
- タープ
- 大型タープのメインポールの張り綱
長ければ良いということでもないので、ご自身の持っているタープやテントの大きさを把握して選ぶのがおすすめです。
以上を参考にして使い分けて購入すると重さやコストも抑えられるのでより効果的に商品を選びましょう!
まとめ
鍛造ペグの魅力はなんといっても丹念こめた製造方法が生み出す強度と耐久性です。日本では伝統的な鍛造技法が施されたペグが多く製造されていますので、日本の職人技をキャンプで味わってみるのも新鮮です。
長く、多くキャンプを楽しみたい方は、鍛造ペグを使ってみてはいかがでしょうか。ペグ=消耗品なんて概念はもう無くなりつつあります。鍛造ペグの仕組みや特徴を理解し、長く愛用できるペグに出逢えることを祈っています!
鍛造ペグは耐久性があり長く使えますし、どんなフィールドでも活躍してくれますので惜しみなく購入されることをお勧めします。