キャンプで焚火をするための斧は必要不可欠です。
今回はキャンプ斧について解説しております。
焚火はキャンプにおいて重要な役割を持っています。
楽しむための「アクティビティ」以外にも、暖を取るための焚火、あるいは調理をするための焚火。
キャンプと焚火は、切っても切れない関係です。
焚火の燃料の薪は「薪割」をして初めて、焚火の燃料になります。
薪割をしていない太い薪・硬い樹種の薪は、火付きが悪いです。
そんな薪では、火を起こすことさえ難しいでしょう。
薪割に必要な道具と言えば「斧」。
今回は「キャンプの薪割におすすめしたい斧」をピックアップしました。
斧の選び方や正しい使い方、おすすめのブランドも紹介します。
これから斧を購入する予定の方、今持っている斧を見直したい方は、ぜひ参考にしてみてください。
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人気のキャンプ斧のおすすめブランド
ハスクバーナ
Husqvarna(ハスクバーナ)は、元はスウェーデンの銃火器メーカーで、330年以上の歴史を持ちます。
現在は農機具・造園器具メーカーとして、世界60カ国以上の人々がハスクバーナの商品を使っています。
ハスクバーナの商品ラインナップの中でキャンプに向いているのは、以下の2点。
- 手斧
- キャンプ用斧
どちらも全長は36cm前後で、薪割りも枝打ちもブッシュクラフトもこなします。
高品質なスウェーデン鋼を使った斧頭は、スウェーデンのクラフトマンがひとつひとつ手で鍛えており、高い完成度ながらどちらも1万円以下で購入できるのが魅力です。
グレンスフォシュ・ブルーク
1902年から斧を生産しているグレンスフォシュ・ブルークは、ひとつの斧を作り上げるのに、1人の職人が最初から最後までを一貫して作り上げる、とてもこだわりの強いブランドです。
グレンスフォシュ・ブルークでキャンプに向いている斧は以下の通りです。
- ハンドハチェット
- ミニハチェット
- ワイルドライフ
- アウトドアアックス
アウトドアアックスは、グレンスフォシュ・ブルークの熟練職人であるレナート・ペッテション氏と、特殊部隊へのサバイバル講師に35年間従事した、サバイバルの達人ラーズ・ファルト氏が、共同で開発した斧です。あらゆるサバイバルシーンでの使用を想定しており、最高の1本と言われています。
ハルタホース
1883年に設立されたハルタホースは、19世紀後半から斧を生産している歴史あるブランドです。
ハスクバーナ、グレンスフォシュ・ブルークと同様に、スウェーデン製で、その品質は折り紙付きです。
ハルタホースのラインナップの中から、キャンプに向いている斧は以下の通りです。
- スカウト
- フルトンハチェット
- オールラウンド
オールラウンドは他の斧と比べると全長が少々大きいですが、その分薪割で大きなパワーを発揮します。
キャンプ斧4本比較
ハスクバーナ/手斧
はじめてのキャンプ斧には最適!斧頭に重さがありパワーがあるので、太くて硬い薪も気持ちよく薪割できます。
ブッシュクラフトで使うには、可もなく不可もなくといったところで、ナイフとこの手斧があれば、困ることなく焚火は楽しめます。唯一の欠点は重量があるところ。軽量化を目指している方には、少々不向きと言えます。
グレンスフォシュ・ブルーク/アウトドアアックス
ブッシュクラフトするなら間違いなく使いやすい斧です。太くて硬い薪には少し手こずることがありますが、
ほぼオールラウンドに使うことができます。バックパックに挿しても重みをほとんど感じないコンパクトさも魅力の一つ。
ブッシュクラフトをするならまず後悔することはなく、長期にわたって愛用する一本になるはずです。
グレンスフォッシュ/ハンドハチェット
コンパクトで小回りが利くので、非常に使いやすいです。斧頭も重めでパワーがあるので、直径3~4cmくらいの
太さの薪であれば薪割り可能です。太くて硬い広葉樹はかなり苦戦します。刃先が他の斧と比べ直線的で、
斧頭の根元付近を持つことができるので、削る作業がやり易いのが印象的でした。
ハルタホース/オールラウンド
名前の通り「オールラウンド」で活躍する斧です。全長は44cmと、キャンプ斧としてはやや大きめ。
しかし均整のとれたバランスの良さで、薪割もブッシュクラフトも難なくこなせます。
柄が絶妙に弧を描いており、握った際に手に馴染む感覚が使い心地の良さに直結しています。
キャンプ斧4本の斧頭
人気のキャンプ用の斧おすすめ10選
キャンプで使用する斧は、薪割・ブッシュクラフトどちらのシーンでも使えるものが重宝します。
これまで紹介した3ブランドからは、他にもキャンプ用として利用するのに向いている斧がラインナップされています。
キャンプ斧を探している方にお勧めしたい斧を10選、ご紹介します。
3ブランド以外に、日本のメーカーが作る信頼できる斧もピックアップしてみました。
ハスクバーナ/キャンプ用斧
名前から分かるとおり、ハスクバーナがキャンプ用として開発した斧です。
ご紹介した「手斧」に比べ、斧頭が軽量化されており、さらに斧頭の形状がくびれているため、携行に便利です。
刃は弓形の曲線を描いており、ブッシュクラフトにも使える、まさにキャンプ用の斧としてうってつけの商品です。
軽量化はされていますが適度に斧頭に重量があるので、小割を作る程度の薪割りなら、充分に能力を発揮します。
ハスクバーナ/小型薪割り斧
全長が50cmとやや大ぶりなため、キャンプで薪割を主に楽しみたい方にお勧め。
斧頭の重量は900gと重め。長い柄と重い斧頭により、振り下ろすと大きなパワーが発揮されて、
硬い薪や太い薪も難なく割れます。
薪を「切る」のではなく「裂く」様に割るために斧腹が膨らんでおり、薪割りに特化した斧頭の形状をしています。
刃は直線で、ブッシュクラフトに使えないこともありませんが、どちらかというと薪割に向いている斧です。
ハスクバーナ/ハチェットH900
斧の柄が木製ではなく、強化プラスチック製の「複合斧」と呼ばれるジャンルの斧。
滑りにくいグリップでしっかりと握ることができ、効率的に薪割や枝打ちをするのに向いています。
斧頭は「高炭素鋼」という頑丈な素材で作られており、表面にテフロン加工がされ、強く錆びにくい斧です。
斧頭後部はハンマーとして使え、機能的な斧になっています。
伝統的な木製の柄の斧とは一味も二味も違う、現代斧の機能性が味わえる1本です。
グレンスフォシュ・ブルーク/ミニハチェット
「斧比較」でご紹介した同社の「ハンドハチェット」より、全長が2cm長く、斧頭の形状がよりブッシュクラフト向きの斧です。
斧腹の厚みがハンドハチェットに比べ薄く、刃渡りも18mm短いため、細かな作業を得意とします。
柄が細く作られているため握りやすく、手元の繊細なコントロールができ、削る・欠くといった作業がしやすいです。
全長はハンドハチェットより大きくなっているものの、26.5cmとかなりコンパクトで、持ち運び・取り回しに便利です。
森の中に携行し、枝打ちや枝払いをするにも充分に役立ちます。
グレンスフォシュ・ブルーク/ワイルドライフ
上でご紹介した同社の「ミニハチェット」を、形状そのままに大きくしたのがこちらの「ワイルドライフ」。
ミニハチェットより柄が8cm長く、刃渡りは「ハンドハチェット」と同じ8cmの弓形の曲線刃。
斧腹は薄く、薪割よりもブッシュクラフトに向いています。
グレンスフォシュ・ブルークの斧は、斧頭にくびれが付いているものが多く、こちらのワイルドライフもくびれがあります。
ハスクバーナのキャンプ用斧で言うところの、「ベルトに提げて携行しやすい」形状で、キャンプに持ち歩くのに便利です。
ハルタホース/スカウト
全長は38cm、総重量は900gで比較的軽量な斧です。
斧頭の形状は斧腹が薄くなっており、斧刃は弓形の曲線刃で、ブッシュクラフトに向いています。
両手で持って扱う事もできるため、小割を作る程度の薪割も難なくこなします。
グレンスフォシュ・ブルークのワイルドライフより若干大きいサイズ感で、
性能面ではほぼ同等と考えてよいでしょう。
ハルタホース/フルトンハチェット
こちらの斧は同社の「スカウト」の初期モデルの復刻版です。「フルトンハチェット」は現在の名称で、
旧名は「クラシックスカウト」。現在のスカウトに比べ、重量が100g程軽量です。
斧刃は腹が薄く、刃先は弓形の曲線刃。こちらもブッシュクラフトに向いている斧です。
柄はヒッコリー材で、あらかじめ亜麻仁油を染み込ませているため、しなやかで柔軟性を持っています。
ハルタホース/スプリット50
全長50cm、総重量1.4kg、斧頭重量900gで、ハスクバーナの「小型薪割り斧」と似ています。
名称の「スプリット」は「割る」という意味であり、薪割斧を「スプリッティングアックス」と呼びます。
名前の通り薪割に特化した斧で、キャンプで主に薪割を楽しみたい方に向いています。
斧頭の形状は斧腹が膨らんでおり、薪を「裂く」ように割ります。
斧刃は直線で、ブッシュクラフトには重量・形状ともにあまり向いていません。
越乃火匠 久八/曲がり柄 馬斧
全長38cm、重量800gで、ハスクバーナ「キャンプ用斧」、ハルタホース「スカウト」に近いサイズ感です。
斧刃の腹は薄いものの、「蛤刃(はまぐりば)」と呼ばれる独特の形状で、刃が木に食い込むことを防ぎます。
和斧の持つしなやかなフォルムと、見た目からは想像が付かない程の破壊力を楽しめます。
斧頭の側面にはそれぞれ三本・四本の筋が入っており、「身(三)を除(四)ける」という意味を持ち、
「斧の使用で怪我をすることが無いように」という考えが込められています。
ユニフレーム/燕三条乃斧
こちらも日本産の斧で、キャンプ用品で有名なユニフレームが製造・販売しています。
「ものづくりのまち」燕三条で作られていることから名前を付けられ、信頼の出来栄えとなっています。
斧としては珍しい「フルタング(刃と柄が一体)」で頑丈に作られており、柄を包むゴム製のグリップが、
薪割の際の手に伝わる衝撃を吸収します。
斧頭の後部には「ワニ口」のような切り込みがあり、小割の薪を差し込んで、てこの原理で薪を折ることができます。
小型の薪割台などを利用していて、薪を折って使っている方にとっては嬉しい機能です。
ブランド | 名称 | 全長(cm) | 重量(g) | 斧刃形状 |
ハスクバーナ | 手斧 | 36.0 | 820 | やや薄い |
---|---|---|---|---|
キャンプ用斧 | 37.5 | 784 | やや薄い | |
小型薪割り斧 | 50.0 | 1322 | 厚い | |
ハチェットH900 | 34.0 | 900 | 薄い | |
グレンスフォシュ・ ブルーク |
ハンドハチェット | 24.5 | 440 | やや薄い |
ミニハチェット | 26.5 | 360 | 薄い | |
ワイルドライフ | 34.5 | 440 | 薄い | |
アウトドアアックス | 37.5 | 245 | やや薄い | |
ハルタホース | スカウト | 38.0 | 950 | やや薄い |
フルトンハチェット | 37.5 | 805 | やや薄い | |
オールラウンド | 44.0 | 1200 | やや薄い | |
スプリット50 | 51.0 | 1400 | 厚い | |
越乃火匠久八 | 曲がり柄 馬斧 | 37.0 | 800 | やや薄い |
ユニフレーム | 燕三条乃斧 | 31.0 | 450 | 薄い |
キャンプ斧の「選び方」と「正しい使い方」
一口に「薪割」と言っても、「丸太のような木を割る本格的な薪割」から「キャンプの焚火にくべる為の木を割る薪割」まで、その範囲は広いです。
どの程度の使い方をするかによって、斧に求めるスペックが変わります。
今回は小規模な「キャンプでの使用」に絞って、斧の選び方と正しい使い方を紹介します。
キャンプの薪割で最適な斧のサイズは?
キャンプで使用する薪の入手先は、たいていがキャンプ場かホームセンターです。
そのような場所で入手できる薪は、あらかじめざっくり割られており、大きな斧が無くても問題ありません。
むしろキャンプに持ち歩く斧は、小さく軽い方が便利。
そもそもキャンプは、余計なものをごちゃごちゃ持ち歩かず、
必要な物を、最低限のスペックのみ持ち合わせていれば、充分楽しめます。
キャンプの薪割に適した斧は、目安として次のようなもので良いでしょう。
- 長さ:38~45cm程度
- 重さ:800~1000g程度
このサイズの斧は、いわゆる「手斧」に分類され、コンパクトで扱いやすいのが特徴。
片手で握れば、木の加工(ブッシュクラフト)に利用でき、両手で握れば、硬い薪・太い薪も難なく割れる、万能なサイズの斧です。
正しいキャンプ斧の使い方
斧は正しく使えばとても便利で、心強い相棒になります。
しかし誤った使い方をすると、とても危険な道具です。
一歩間違えば自分や周囲の人を死に至らしめます。
斧を正しく使い、キャンプを安全に楽しみましょう。
薪を割る
薪を割るには、必ず「薪割台」を使います。
大きく、安定したものを用意しましょう。
薪割台の上に薪を置く際は、必ず薪割台の奥(向こう半分)側に置きます。
斧を振り下ろした際、斧が薪に当たり損ねた場合に、自分の脚に斧が当たらないようにするためです。
薪に当たり損ねた斧は、薪割台に当たり止まります。
同じ理由から斧が薪に当たる瞬間、斧の柄が水平になるように気を付けましょう。
薪を割る際に、両手が斧より高い位置にあると、薪を割った勢いそのままに、斧が自分の方へ向かってきます。
とても危険なので、「斧の柄が水平になるように薪を割る」ことを意識しましょう。
斧が薪に食い込んだ場合
薪割中、斧が薪に食い込んで止まる事があります。
無理に引き抜かず、食い込んだ薪ごと斧を垂直に持ち上げ、まっすぐ薪割台に落とします。
斧自体の重さと、垂直に落とすことによる真下方向への力で、薪が割れます。
もしくは薪自体の重さを利用するために、斧頭の後部(斧刃の反対側)を薪割台に当てる様に振り下ろす方法もあります。
薪が重ければ重い程、威力は強くなり、薪が割れやすくなります。
しかし、持ち上げた薪が斧から脱落する恐れがあるので、薪の動向によく注意を払い、気を付けて行いましょう。
枝打ち
木の枝を幹から落とすことを「枝打ち」と言います。
キャンプでは倒木の枝を薪として利用する機会もあり、キャンプ斧は枝打ちに有効です。
枝打ちの基本は、斧を振る先に足を置かないこと。
当たり前ですが、間違えると怪我をするので、気を付けましょう。
枝打ちをしたい枝の、幹を挟んだ反対側に立ちます。
両手で斧を握り、枝の付け根、幹との接合部分を目がけて、斧を横から振ります。
斧が自分に当たらないように、必ず幹と平行に斧を振りましょう。
斧頭の形状のちがいについて
斧の鋼の部分、「斧頭」は様々な形状があります。
薪割のみをするのであれば、斧腹が膨らんでいるものが、薪割に向いています。
枝打ちやブッシュクラフトもする場合は、刃が適度に薄く、刃先が鋭利なものが扱いやすいです。
斧頭の刃元から柄にかけてくびれがあるものは、山の中へ携行することを想定しており、ベルトなどに提げることができます。
キャンプ斧は、刃が適度に薄く鋭利で、くびれがあり、全長が50cm以下、重量が1kg以下の斧を選ぶと間違いないでしょう。
また、刃先の形状によって、斧が活躍する場面が異なります。
薪割をするにはハマグリ刃という、刃を鋭角で直線的にせず、鈍角で丸みを持たせ、摩擦を軽減する形状が向いています。
ブッシュクラフトのように、枝を削る・樹皮を削ぐといった使い方をする斧は、薪割り斧と正反対で刃を鋭角で直線的に、薄く研いだものが向いています。
ブッシュクラフトに斧は必要!
キャンプでブッシュクラフトを楽しむならば、斧は必須アイテムと言えます。
キャンプ用の斧は万能で、様々なシーンで活躍します。
キャンプで斧が活躍するシーンをご紹介します。
柄を両手で長く持てば、薪割斧として使う事ができ、太い薪・硬い薪が割れます。
薪割は斧の基本の使い方です。焚火用に細い薪を作るのに、斧は必ず必要です。
ナイフでのバトニングには、限界があります。なるべくなら斧を使用して薪を割った方が、
効率も良く、キャンプの「アクティビティ」として薪割を楽しむことができます。
斧頭付近を持てば、刃先の細かいコントロールができるようになります。
繊細な力加減をすることができるので、斧を思い通りに扱えます。
ナイフのように木を削ることができ、焚火の焚き付けに使うフェザースティックも作れます。
ただし、刃先を鋭利に研いでおかなければこのようなクラフトは難しいので、斧のこまめなメンテナンスが必要です。
商品により推奨されない場合もありますが、斧頭の後部をハンマーのように使って、キャンプのペグ打ちもできます。
焚火のリフレクターの杭打ちにも役立つでしょう。
ブッシュクラフトでは、自然のものをいかに利用して、キャンプをするかを考えるのが楽しいものです。
「テントやタープを固定するためのペグは、山で拾った木の枝を削り、地面に突き刺して使う。」
「焚火の熱を効率よく反射させるためのリフレクターの杭も、拾った枝を加工する。」
ナイフ1本ではできないことも、斧が1本あればできてしまいます。
ブッシュクラフトにおいて斧は、必須のアイテムと言えるでしょう。
キャンプ斧を使って最大限にキャンプを楽しもう
キャンプ用の斧を販売しているメーカーは多いですが、キャンプで何を楽しみたいか
(薪割を楽しみたい)(ブッシュクラフトを楽しみたい)によって、選ぶべき斧は変わってきます。
斧刃が厚い斧は、薪割向き。
斧刃が薄い斧は、ブッシュクラフト向き。
その他にも重量や全長によって、持ち運びしやすいか、取り回ししやすいかが決まります。
自分がどのような使い方をするかを想定して、キャンプ用の斧を選びましょう。
正しい斧を正しい使い方で利用すれば、今よりもっとキャンプが楽しくなります。
今までできなかったことが、キャンプでできるようになります。
斧はキャンプの楽しみ方を広げてくれる、良い相棒になるでしょう。