私が愛用するジェットボイル社の「PCSフラッシュ」をご紹介します。登山界にすい星のごとく現れ、すでに登山キャンプ用のコッヘル一体型バーナーとして定着・普及しているジェットボイルなので、かなり今更感満載です。
これが発売された当時は登山界に衝撃が走り(言い過ぎかな)、今でも現役で使用されている方も多いかと思います。
すでに後継機である「ジェットボイルFLASH」が発売されていますが、構造的には大きな変化はありませんので、そちらの購入を考えている方に向けての一つの参考になれば幸いです。
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沸騰スピードはまさに衝撃的でした
筆者は現在、ガスバーナーを3台、液体燃料バーナーを1台所持している
それまで数々のガスバーナー、液体燃料バーナーなどを使ってきました。
早い早いと噂を聞いてはいましたが、当時まだ日本ではそこまで普及しておらず、値段も高かったので、手が出ずにいました。
そんな中、ワーキングホリデー制度を利用してカナダに長期旅行に行ったのですが、カナダ現地の登山用品ショップでPCSフラッシュを発見。
かなり安価(日本での販売価格の半額以下だったと記憶)で販売されていたため、見つけたその場でこの「PCSフラッシュ」を衝動買いしてしまいました。
購入してすぐ試してみたのですが、まさに衝撃。その時の記憶は、現在でもはっきりと鮮明に覚えています。
驚くべきはその沸騰スピード。明らかに既存のバーナーのそれをはるかに超えていました。
それまで使用していたものより半分かそれ以下の時間で沸騰した体感。そのときは感情が昂っていたのもありますし、計測したわけではないので、あくまで体感です。
しかし、「もう他のバーナーには戻れない」そう思ったことをよく覚えています。
なぜそんなに早いのか?ポイントは以下の3つにあるようです。
これらは、当時どれも初めて見る機構で、まさに革新的なものでした。
- フラックスリングと呼ばれる蓄熱機構
- コッヘルをネオプレンで覆う機構
- バーナーとコッヘルをがっちりと接続し一体型とする機構
①のフラックスリングとは、コッヘル底部に付いているジャバラ構造のことで、これが発生した熱を逃がしにくくしているとのこと。
私は理系ですが熱力学は「さっぱり」なのでこの理論はわかりません。
もちろん、燃焼でフラックスリングが赤くなるなどのわかりやすい変化はなかったので、なんとなく「おお、蓄熱しているなぁ」と妄信的な感想を一人で述べたような記憶があります。(この構造の詳しくは商品ページをご覧ください。←逃げた)
コッヘル底部にジャバラ構造のフラックスリングがある
フラックスリングが熱を効率的にコッヘルに伝える
それよりも、私が驚いたのは②コッヘルをネオプレンで覆うという、これまでありそうでなかった機構。地味かもしれませんが、これが沸騰スピードに大きく貢献していると思います。次項で紹介します。
コッヘルをネオプレンで覆うという新発想が驚異的な蓄熱力(保温力)を生んだ
真ん中がコッヘル。それに巻かれているオレンジ色のものがネオプレン製の保温材
コッヘルをネオプレンなどの保温材で覆うという機構はそれまで、どのメーカーのコッヘルにもなかったと思います。
素人目には思いつきそうなものですが、なぜなかったのでしょうか。この機構のおかげで保温力が抜群によくなり、驚異的な沸騰スピードを実現しています。(上述のフラックスリングや一体型のメリットが合わさって)
「いつまでたっても熱い」は言い過ぎですが、火を止めても本当になかなか冷めません。いつまでも熱くておいしい状態で食べられます。
後述の「PCSフラッシュの筆者おすすめの使い方」でご紹介しますが、パスタを茹でるときはこの保温力を使うことで燃料を節約できます。
ただこの良すぎる保温力は、デメリットにもなって、夏なんかは特にスープが一向に飲めないのでたまに難儀します。(スープを別皿に移し替えて冷ませば済む話です。)
その他にも保温材で覆ったゆえに生まれたメリットがいくつかあります。
例えば、
①持ち手が熱くならない
②インジケーターがお湯の温度を知らせてくれる、などです。
①は、ネオプレンが熱を内側に閉じ込めるので、外側はあまり熱くなりません。
沸騰したものでもネオプレンの外側は十分持てる温度です。
安全にもつながる重要なメリット。
②は、沸騰スピードが速すぎて吹きこぼれる可能性が大きいジェットボイルならではの機能かと思います。
このインジケーターがあるにもかかわらず筆者は油断して何度も吹きこぼしています。
沸くのが早すぎるのも困りもの?
一体型がもたらすメリット
高さがあるが固定されているので信頼できる
バーナーとコッヘルをがっちり接続して固定するという機構もそれまでなかったのではないでしょうか。
これによって、バーナーとコッヘルの間の「滑り」がなくなり、「PCSフラッシュ」の細長い形状でも安定感があります。
底のガスカートリッジ用の脚立が付属するのも安全性を底上げする嬉しいポイント。
なお、この一体型にすることによって全体の熱効率が良くなるようで(熱が逃げないようになり)、バーナーで発生した熱を無駄なく確実にコッヘルに伝えることができるのだとか。驚異の沸騰スピードはこういった様々な細かい工夫から生み出されているのですね。
PCSフラッシュの筆者おすすめの使い方
湯沸かし
これに尽きます。正直に申し上げると、「PCSフラッシュ」は調理には不向きです。
水を効率よく早く沸かすことに重点を置いた製品です。
それゆえに、水を沸騰させることにおいて類を見ない性能を持っています。
現に、縦走登山や冬期登山などはバックパックの重量が非常に重くなります。
その関係であまり手の込んだ料理はできず、カップラーメン、アルファ米やフリーズドライ製品などのお湯を注げば食べられるものを持っていくことがほとんどです。
最近はそういった食材の種類も増え、バラエティに困ることはありません。
1~2人で登山する時のキャンプでは、私は「PCSフラッシュ」一択です。
効率的なパスタの茹で方
「PCSフラッシュ」を使用し始めて段々と慣れてきた頃、上記の保温力に目が行くようになりました。
この保温力があれば沸騰した後に火を止めても、その保温力でパスタの麺は茹で上がるのでは?と思い立って実験してみました。
細目のパスタを半分に折って投入。沸騰したら火を止め、10分程度待つ。
結果パスタは十分に茹で上がっていました。燃焼時間が短いためでしょう、コッヘルに麺がこびり付くこともありませんでした。
火をつけるのは沸騰するまでの時間だけ。
燃料の節約にも大きく貢献します。
麺を別皿に移して、市販されている明太子クリームやふりかけなどで和えれば、コッヘルもそこまで汚れることがありません。
これはPCSフラッシュに限った話ではありませんが、ゆで汁をスープやカフェオレにして飲めば環境にもやさしいので一石二鳥。
ラーメンなどに少し飽きたなーという方はぜひ試してみてください。簡単で燃料の節約にもなり汎用性があるので、PCSフラッシュでのパスタ調理おすすめです。
まとめ
ジェットボイル社の「PCSフラッシュ」。その驚くべき沸騰スピードは現在でも決して劣るものではありません。
後継機の「ジェットボイルFLASH」はこれよりもさらに早いとメーカーが謳っているので、かなり気になります。
いずれ手にし、比較レビューなどもしてみたいですね。
野外での「湯沸かし」(1人~2人用)においてこれ以上の製品はないと断言できます。
購入を検討されている方の用途に合っていれば自信をもって紹介できる代物です。