数年前までアルコールストーブは、1gでも荷物を軽くしたい軽量化オタクや、旅人が好んで使うマニアックな道具でした。
今では100円ショップでアルコールストーブ用のゴトクが販売されています。
キャンプに使うバーナーの選択肢の1つとして、認知度がどんどん上がっていますね。
アルコールストーブが各社から販売されているので、はじめの1台にどれを選べばいいのか、わからないのではないでしょうか?
今回は、アルコールストーブを購入する際に気にかけるポイントを伝え、手持ちのアルコールストーブ3種類を比較して、それぞれにどんな特徴があるのかを調べたいと思います。
また、自作のストーブでも、市販の製品と同じように使えるのかを確かめようと思います。
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アルコールストーブ選びのポイント
重量
アルコールストーブは素材や大きさによって10g程の超軽量な製品から100gを超える製品まで様々な重さのものがあります。
超軽量な製品はウルトラライトハイカーのような、できるだけ装備を減らして、身も心も軽く行動したい方に好まれます。
アルコールストーブの軽量化は、超軽量なストーブを手に入れるだけではなく、ゴトクやクッカーも含めたトータルな重量を考える必要があります。
燃料の軽量化の為には、手持ちのストーブで何mlの燃料を使えば、何mlの水を沸かすことが出来るかを把握する必要があります。
そうすれば、持ち運ぶ燃料を使用回数に合わせて減らすことができます。
トレッキングや旅のために購入を考えている方は超軽量なアルコールストーブを選んで、試行錯誤をするのも楽しいと思います。
オートキャンプやファミリーキャンプでの使用を考えている方は、軽量化は気にせず、安定感のあるどっしりとしたものを選んだほうが良いでしょう。
あまり気張らずに、デザインやフィーリングで選ぶのも良いですね。
燃料の容量
写真の中央にあるタンクに燃料を注いで使用します。
炊飯や焼き物に使いたい方は、燃料の容量が50ml以上あるストーブを選んだほうが無難です。
50ml以上容量があれば、ストーブによって差はありますが、10分以上は燃焼するので、おいしいご飯が炊けます。フライパンを使って、ソーセージや肉を焼くこともできるでしょう。
容量が少ないと途中で火が消えてしまい、料理を中断する羽目になります。
フリーズドライ食品を食べ、コーヒーを飲む程度の湯沸かしならば、容量が15~30ml位のストーブでも大丈夫です。
燃焼時間と火力
同じ量の燃料を使って、長い間燃えるのは、とろ火の製品になります。
逆に短時間の燃焼で火力が強い製品もあります。
火力が強ければ強いほど早く水を沸騰させることができますが、調理の時間にゆとりがある場合は、長い間燃える製品がオススメです。
ロウソクのように揺らめく炎を眺めながら、アルコールストーブならではの、ゆったりとした時間を満喫できますよ。
強度
アルコールストーブは造りが単純なので、普通に使っていれば故障知らず。
万が一踏みつけてしまっても、大きく変形しなければ問題なく使用できます。
ただ故障がないとは言えないので、心配な方はアルミ製の製品よりもチタンや真鍮、ステンレスの製品を選んだほうが良いでしょう。
安定感
ストーブがひっくり返り、アルコールがこぼれてしまうと、辺り一面火の海になります。使用するゴトクによっても変わってきますが、コッフェルを乗せた時の安定感も重要なポイントです。
3種類のアルコールストーブの仕様
トランギア社 アルコールバーナー TR-B25
1951年から変わらぬ仕様で販売されています。
アルコールバーナーの元祖とも言われており、タフで安定感があります。
火力調節用の蓋を使ってとろ火が可能。使用にはゴトクが必要です。
重量 | 110g(バーナー本体のみは69g) |
---|---|
収納サイズ | 径7.5×高さ4.5cm |
素材 | 真鍮 |
最大容量 | 100ml |
Gramm weenie stove グラムウィニーストーブ
重量 | 11g |
---|---|
収納サイズ | 径3.5×高さ3.5cm |
素材 | アルミ |
最大容量 | 15ml |
軽量化と収納のサイズにこだわるウルトラライトハイカーの間で10年程前に話題になった超軽量ストーブです。
構造上、ゴトク無しで使用します。
自作のアルコールストーブ
重量 | 12g |
---|---|
収納サイズ | 径6.5×高さ4cm |
素材 | アルミ |
最大容量 | 約80ml |
ビール缶の底の部分を上下のパーツに使用し、組み合わせて作成しました。
自作のアルコールストーブは作り方によってサイズが異なり、仕組みも様々ですが、
このタイプは最もオーソドックスなものとして知られています。使用にはゴトクが必要です。
アルストを実際に使用して比較しました
燃料をタンクに注いで、中央に火を点けました。
中央から火が出ているのが見えますか?
アルコールストーブの構造上、着火してから炎が安定するまでに時間がかかります。この時間をプレヒート時間と呼びます。
しばらくすると炎が周りの穴から吹き出し、本燃焼が始まりました。
ゴトクと水を入れたシェラカップを乗せます。
燃料を15ml使用して200mlの水を沸騰させました。
こういった順序で3種のストーブをそれぞれ使い、
以下の3つの時間を計測して比較しました。
- ①プレヒート時間
- ②沸騰するまでの時間
- ③消火するまでの時間
さて、結果のほうを見ていきましょう。
トランギア | グラムウィニー | 自作 | |
---|---|---|---|
プレヒート時間 | 16秒 | 37秒 | 51秒 |
沸騰までの時間 | 5分7秒 | 5分30秒 | 4分21秒 |
消化するまでの時間 | 6分34秒 | 7分20秒 | 4分59秒 |
比較からわかった製品の特徴は?
トランギアのTR-B25はプレヒート時間が少なく、すぐに使い始めることができました。
重さが69gあるので、シェラカップを乗せた時に安定感を感じました。
15mlで6分程度燃えたので、30mlの燃料を使用した場合10分以上燃焼することになります。炊飯にも使用できますね。
消火時間と沸騰時間も3点の中で中間だったので、バランスが良い造りだと思います。
グラムウィニーストーブはゴトクを使用しない分、11gの本体と燃料だけで使えるので、トータルの重量が最も軽量です。
ただ、フラットな場所でもコッフェルの安定感が悪く、屋外で使うには工夫と経験が必要になるかと思います。
実験では自作のストーブよりも2分以上も長く燃焼しており、
とろ火でゆったりと燃えていることがわかりました。
容量が最大15mlで約7分燃焼するので、1度に沸騰させることが出来る水は300ml程度が限界だと推測できます。
コーヒーやお茶を飲むのには向いていますね。火力が弱いため焼き物の調理は難しいと思います。
驚いたことに、自作ストーブの沸騰時間が最速でした。
グラムウィニーとの時間差は1分9秒もあり、火力が頭一つ抜けていることがわかりました!
火力が強いぶん、早く消化したので燃費は良くないようです。
ゴトクを使用するタイプなので、トータルで見ると重くなりますが、本体の重さではグラムウィニーとほぼ同じでした。
まとめ
いかがでしたか?
アルコールストーブ1つとっても様々な種類があり、用途によって選ぶものが変わってくることがおわかり頂けたでしょうか?
トレッキングや歩き旅に使う目的で、軽量化に励みたい方は、小型で超軽量なものを選びましょう。
軽量化のためには、ゴトクや風防、燃料のトータル重量を減らす試行錯誤がかかせません。扱いづらい点を補う経験も必要になります。
キャンプで使う方は重さを気にする必要はなく、炊飯をするならば容量が50ml以上あるものを選び、安定したゴトクや風防をチョイスしたほうが、扱いが楽です。
また、市販のものと比べても遜色なく、自作したストーブは使えましたね。
材料はアルミ缶なので、作るにはコストがほとんどかかりません。
作業に必要な道具は100円ショップで全てそろえることが出来ます。
DIYがめんどうでない方は自作を強くおすすめします。
アルコールストーブは簡単に扱えますが、使い方にこだわれば深い世界が広がっています。
皆さんもお気に入りの1台を見つけてくださいね!