皆様はMYOGという言葉をご存じでしょうか?
MYOGとはMake Your Own Gear の頭文字をとったもので、「道具の自作」のことです。
既製品では満足が出来ない人達がテントやシュラフ、ザック等、様々なものの自作を試みています。
趣味の範囲を飛び出て、ブランドになっている商品も少なくありません。
近頃キャンプ好きの中で人気が高まっているアルコールストーブは、実は自宅でカンタンに作ることができます。
道具は100均で揃いますし、材料はアルミ缶(ビール缶やコーヒー缶でOK)だけなのでほとんどコストがかかりません。
特殊な技術もいりません。
少しだけ手間をかければ、十分に使えるアルストが手に入ります。
今回はMYOGの中でもとっつきやすいアルコールストーブの作り方について説明したいと思います。
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アルコールストーブの簡単な仕組み
アルコールストーブはなぜ燃焼するのでしょう?
さまざまな仕組みのものがありますが、今回はトランギアのアルコールストーブTR-B25と同型のオーソドックス型を例にして説明したいと思います。
出典:Wikipedia
オーソドックス型は3つのパーツから出来ています。
上の写真で
緑色の部分が内筒パーツ。
青色の部分が上部パーツ。
黒色の部分が底パーツになります。
上部と下部パーツで内筒パーツを挟み込むことにより、2重壁になっています。
上の写真の緑色の内側が内筒部分になります。
内筒部分にアルコールを注ぎ、点火します。
すると内筒に炎が立ちます。
出典:Wikipedia
炎で内筒が温められると、内筒と外筒の内側部分(副室と呼びます)にたまった燃料が加熱されます。
出典:Wikipedia
十分に加熱されるとアルコールが気化して、上部に多数ある孔から炎が噴き出します。
100均で揃う!アルストの自作に必要な道具!材料は空き缶
- アルミの空き缶2本
- 紙
- サンドペーパー
- 適当な雑誌や本を数冊
- カッターナイフの替刃
- ホッチキス
- 円形カッター
- セロハンテープ
- 画鋲
- ラジオペンチ
- 鉄鋼用ハンドドリル(2㎜)
- 油性ペン
- ハサミ
- 定規
道具は全て100均で揃えることが出来ます。
サンドペーパーは♯100の粗目の物です。
鉄鋼用ハンドドリルは今回2㎜を使用しましたが、1㎜~3㎜程度なら大丈夫です。
試したことはありませんが、それ以上大きくても問題ないかもしれません。
空き缶でアルストを実際に作ってみましょう
先ほど仕組みを理解したオーソドックス型を作ってみましょう。
まずはパーツの切り出しを行います。
適当に重ねた雑誌に定規を当て、土台から4㎝の部分を確認します。
4㎝の部分にカッターの替刃を差し込みます。
雑誌を上から押さえて圧をかけ、正確に4㎝とれているか確認してください。
雑誌を上から押さえつつ、カッターの刃先を空き缶に押し当てます。
刃先が当たった状態で空き缶を何度も回します。
根気よく回し続けると、部分的に切れ込みが入ります。
切れ込みに合わせて指で押さえつけると簡単にカットできます。
ハサミでもカットすることは出来ますが、このやり方のほうが綺麗な切断面になりますよ。
カット完了。
この4cmのパーツがストーブの上部パーツになります。
カッター刃を使い、同じ要領でもう一つの缶を3㎝の部分でカットします。
このパーツがストーブの底パーツになります。
並べるとこんな感じです。
余っていた空き缶の上部を使い、内筒パーツをつくります。
4㎝3㎜を定規で測り、マーキングします。
缶に合わせて適当に切った紙を巻きます。先ほどマーキングした4㎝3㎜の場所に紙を合わせ、上から油性ペンでなぞります。
油性ペンのラインに対して垂直にハサミを入れます。
油性ペンのラインに合わせてカットします。
切り出したものがこちらになります。
これがストーブの内筒パーツになります。
先ほど切り出した底パーツの内側を見てみましょう。
円形に盛り上がっていますよね?
内筒パーツを丸め、盛り上がった部分に沿わせて円の大きさを取ります。
内壁のパーツを丸めたまま底のパーツから外し、ホッチキスで上下をとめます。
内筒パーツの片側にハサミを使って切れ込みを入れます。
このような切れ込みを、片側に2か所入れてください。
大きさは2㎜程度の3角形です。
この小さな切れ込みはオリフィスといい、アルコール燃料の通り道になります。
ここを通って燃料が副室に注ぎ込みます。
次に底になるパーツをラジオペンチで絞っていきます。
このような状態まで絞ります。
この作業では缶の底まで曲げてしまわないように注意してください。
上から2㎝位の場所で絞ったほうが良いと思います。
下のほうまで曲げてしまうと、上部パーツを取り付けた時に気密が保てません。
その状態で使用してしまうと、アルコールの蒸気が漏れだして引火の恐れがあります。
次にストーブの上部パーツの中央に穴を開けます。
円形カッターを何度も回転させて切れ込みを入れます。
切れ込みがある程度の溝になった段階で、上から押して力を加えます。
力を加えると部分的に裂けて隙間が出来ます。
隙間からラジオペンチを押し込んで引きはがします。
アルコールを注ぐ場所のトップホールが開きました。
次に炎が噴き出す部分のジェット孔を開けていきます。
正確な位置に穴を開けるために型紙をつくります。
上部パーツを紙に当て油性ペンでなぞり、円を描きます。
円をハサミでカットします。
カットしたものを半分に折り、繰り返し4回折ります。
このような状態になるまで畳んで、しっかりと折り目を付けます。
広げるとこのようになります。
16本の折り目が出来ました。
上部パーツの上にセロハンテープで貼り付け、
折り目に合わせて油性ペンでマーキングしていきます。
マーキングの上から穴をあけていきます。
画鋲を押し付けて何回かグリグリすると穴が開きます。
根気よく全てのマーキング部分に穴を開けていきます。
画鋲で開けた下穴を鉄鋼用ハンドドリルで広げます。
電動のインパクトドライバーをお持ちなら、時間の短縮になりますよ。
ジェット孔を全て開けたら、いよいよパーツを組み立てます。
このような並びになります。
ある程度押し込んだら、上から押さえつけてはめ込んでいきます。
ここで強引に押し込むと裂けてしまうこともあるので、くれぐれも慎重に様子を見ながら行ってください。
ピッチリと下まではめ込むことが出来れば成功です。
このままでも使えるのですが、トップホールのバリを取っていきます。
サンドペーパーを扱いやすいサイズに切ってから研磨します。
出来上がり!!
自作のアルストの燃焼時間
実際に使ってみましょう。
アルコールをトップホールから注入し、点火します。
アルコールストーブの炎は光の下では見えにくいので、電気を消してみましょう。
綺麗にジェット孔から炎が上がっていますね。
ちなみにアルコール燃料を3㏄入れて水400㏄を沸かしてみました。
着火から沸騰まで4分50秒、消火までの燃焼時間は7分20秒でした。
既製品と遜色なく使えるレベルです。
まとめ
今回は
- 上部を4㎝
- 内壁のパーツを4㎝3㎜
- 下部を3㎝
で作成しました。
どのようなサイズで作成するにしても、下部は上部よりマイナス1㎝
内壁パーツは上部の長さプラス3㎜にすれば問題ないと思います。
材料にホットコーヒーの缶を使用しました。
缶自体に塗装がなく、出来上がりが無垢のストーブになるのは良かったです。
ただ、普通のビール缶やジュース缶より厚みがあるので、カットや穴を開ける手間がかかりました。
作業中にアルミ缶の端やカッターで手を切らないように注意してください。
心配な方は軍手を使ったほうが良いですよ。
初めて作る方はホット用の缶ではなく、普通の缶を使ったほうが時間の短縮にはなると思います。
缶のデザインがそのままアルストのデザインになるので
好きな飲み物の缶を材料にしても面白いです。
自作に興味を持つと、身の回りにある物にアンテナをはるようになり、ゴミだと思っていたものが宝物に見えてきます。
私はアルコールストーブを作ってからMYOGにハマってしまいました。
自作の道具はキャンプ仲間へのプレゼントにも喜ばれると思います。
是非1度試してみて下さいね。