オピネルには黒錆加工とオイル漬け(油漬け)と呼ばれるカスタムがあります。
二つともオピネルを買ったら最初にやる儀式などと呼ばれていますが、今回はその手順を紹介していきます。
オイル漬けに関しては必要か不必要か賛否両論あります。
やったら実際にどうなるのか?不具合は出るのか?
気になったので新品のオピネルナイフで実験してみました。
結果的に問題は出ませんでしたが、必ずやらなければいけないという訳でもなさそうでした。
これに関しては記事の後半で説明しています。
一方、黒錆加工はメリットが大きくデメリットは感じなかったのでおススメ出来ます。
失敗編と成功編を載せているので少し長くなっていますが参考にしていいただければと思います。
※当サイトはアフィリエイト広告を利用しています
オピネルの黒錆加工(カーボンブレード)
オピネルのカーボンブレード(炭素鋼)は非常に丈夫で長持ちするブレードですが、
水気がある状態で放置すると一瞬で錆び始めてくるというデリケートさもあります。
↑新品のオピネルの上に水滴を垂らし30分ほど放置した後。すでに浮き錆が発生。
キャンプなどで使った後、水気や汚れがある状態でナイフを収納しておくと、
次に取り出した時に驚くくらい錆びが酷い状態になっていたりします。
こういう特性があるのでアウトドア初心者の方だとカーボンではなくステンレスのオピネルを選んだ方が無難かもしれません。
しかし、カーボンブレードのこの弱点を克服する伝統的な対策があります。
黒錆加工などと呼ばれる物です。
ものすごく簡単に説明すると、ナイフに赤錆という物が発生すると錆がガンのようにどんどんと進行してブレード内部まで浸食していきます。
一方で黒錆という物はナイフの表面上で膜を張り、それ以上錆が進行しにくくなります。
この黒錆というものを意図的に発生させることによってナイフの表面をコーティングしてしまおうという考えのようです。
かなりメジャーなメニューで、オピネル以外の炭素鋼のナイフでもよく行われています。
今回、私も新しく買ったカーボンの#10と、ずっと使っているカーボン#7にこの黒錆加工を施してみる事にしました。
因みに私のカーボン#7は中学生の頃におこづかいで買った物なのですが、
中学生にはカーボンブレードの管理は難しく一瞬で赤錆まみれにしてしまいました。
恥ずかしながら刃はたまに研ぎつつも、ブレード側面は錆まみれのまま使い続けた記憶があります。
時と共に赤錆が自然に黒錆のようになったのか無加工のままでかなりの年数が経過。
大人になってようやくきちんとした手順で黒錆加工をしてあげました。
多分、黒錆加工してから3年くらいは経っているかなと思います。
そんな扱いでもトータルで16年くらいは使い続けているので丈夫なナイフですね。
(あまり使っていなかったので16年も持っているわけですが)
ちなみにステンレスのオピネルにこの黒錆加工は必要ありません(というか出来ないです)
カーボンブレードのオピネルのみのメニューになりますのでご了承ください。
準備するもの
- カーボンブレードのオピネル
- パックの紅茶(黒錆液の原料)
- お酢(黒錆液の原料)
- 食器用洗剤、出来ればパーツクリーナー(脂を落とす用)
- 空き缶かペットボトルもしくはコップ(黒錆液を入れる用)
あると便利なもの
- 耐水ペーパーか紙やすり#400 1枚(錆を落とす用)
(砥石でも可)
オピネルの黒錆加工に分解は必要?
出来ればナイフは分解した方が作業がやりやすいです。
分解出来れば木のハンドルも液に浸からないですし。
しかし分解の作業は結構めんどうですし大変なので無理に分解しなくても大丈夫です。
今回はカーボン#7は分解した状態で、カーボン#10は分解しない状態で黒錆加工していこうと思います。
因みにカーボン#7を分解する行程はこちらでご紹介しています。
オピネルの黒錆加工の下地処理
黒錆加工に入る前に下地処理をしましょう。
錆が薄く浮いてる場合は耐水ペーパーなどを使って軽く錆びを落としていきます。
番手は#400くらいの物が一枚あればいいと思います。(ペーパーの荒さ)
(私は最初は#400番だけでやったのですが、黒錆加工した後に磨き傷が見えるのが嫌だったので最終的に#220→#400→#800で仕上げました。)
耐水ペーパーがなくても普通の紙やすりでも金タワシでもワイヤーブラシでも錆が落ちればなんでも良いです。砥石でも大丈夫です。
すでに錆びが酷い場合はこの作業は少し根気がいるかもしれません。
#220かそれ以下の荒い紙ヤスリでしばらく錆を落とす事になります。
私がカーボン#7を黒錆加工した時は、錆びを落としきない状態で黒錆加工の作業に移行したような記憶があります。
黒錆加工するなら新品の状態で行った方が楽かもしれませんね。
黒錆加工の前に研ぎ、研磨は必要?
今回はカーボン#7は黒錆加工前に研ぎました。
逆にカーボン#10は黒錆び加工してから研ぐことにしました。
もちろん黒錆加工してから研ぐと、研いだ部分の黒錆は落ちてしまいます。
せっかくやるなら黒錆加工する前に研いだ方がいいかもしれないですね。
洗浄と脱脂
錆び落としや研磨が終わったら洗剤などで洗って油を落としてやります。
家庭にある食器用洗剤でもいいと思いますが、シリコンリムーバーやパーツクリーナーなどで脱脂した方が楽でしょう。(油を落とす薬剤)
洗い終わったら良く拭き取ります。
ナイフが他の物に触れたりしないようにしましょう。
指で触っても脂が付くので気を付けてください。
黒錆液の準備【失敗編】
いよいよ黒錆を発生させる液体を作っていきます。
私も数年ぶりの作業なので調べながらやっていきます。
今回は紅茶とお酢を使った一般的な方法で黒錆液を作っていきます。
通常はお湯を沸かし、パックの紅茶を2つ3つ程入れて濃い目の紅茶を煮出していくのですが、私の場合は丁度、ネスカフェのスペシャルTという紅茶を入れる機械があったのでこれを使って行く事にしました。
レンタルしたものの全く使っていないのでもう返却しようと段ボールに詰めていたのですが、ちょうどそれが目の前にあったんですよね。
早速スペシャルTで濃さ最大で紅茶を煮出してみましたが、紅茶パックを煮出すよりはかなり薄めの紅茶が出来上がりました。この時点でちょっと不安です。
不安ながらも紅茶300ml程の中に酢を入れていきます。
目分量で50ml程入れてみました。
何とも言えない臭いが立ち込め、とても飲んでみる勇気は出ませんでした。
いよいよカーボンオピネルを投入【失敗編】
ここにカーボンのオピネル2本を投入します。
入れるのはコップでもいいですが、中で黒錆が発生することを考えると空き缶などを使って使い捨てた方がいいと思います。
空き缶だと保温力がないので影響が出ないのかなと思いましたが、以前も空き缶でやって問題がなかったので今回もこの方法で行いました。
カーボン#10はブレードを取り外さないで作業をしているため、ブレード全体が浸かるように黒錆液の量を調整しました。
このやり方だとハンドルも少し浸かってしまってますが、仕方ないです。
一方でカーボン#7の方は分解してブレードのみにしてあるのでハンドルが浸かる事はありません。
分解してブレードのみにした場合は、本来ピンが入る穴に糸か針金を通してやると作業が楽です。
このナイフは写真の通りすでに黒錆化してあり剥がれもほぼないのですが、せっかくなので一緒に漬けてみます。
脱脂だけして他の処理は何もしていないのでどういう結果になるかは分かりません。
紅茶が薄すぎると失敗する?
用事があって出かけた所、帰りが遅くなってしまい6時間ほど放置する事になってしまいました。
引き上げてみましたが、少しムラになっているような。
とりあえずそのまま一晩乾燥させましたが、なんだか焼けたような感じになってしまいました。
長く漬けていたのが原因ではないような気もします。
ぶくぶくと泡が立ち反応はしていたのですが、お茶が薄いのが原因なのでしょうか?
紙ヤスリで焼けのような汚れを落として、もう一回同じ分量と要領でチャレンジしてみました。
今度は1時間ほどで引き上げ、そのまましばらく乾燥。
今度は一応成功したのですが、なんだか黒錆が薄いしムラが酷いです。
紙やすりで研磨した時の傷も目立っています。悔しいのでもう一度やり直すことにしました。
今度は紅茶を濃くしてみた【成功編】
ネスカフェのスペシャルTではお茶の濃度が薄すぎるのではないかという疑惑が出たので、今度は教科書通りパックの紅茶を使って行う事にしました。
ついでに仕上がりがより綺麗になるように、ブレードを耐水ペーパーの#220→#400→#800で軽く磨いて研磨傷を少なくしておきました。
紅茶のパックは鍋でぐつぐつと煮出すと良いみたいですが少し面倒ですね。
今回は空き缶にお茶のパックを入れてお湯を注ぐだけにしてみました。
紅茶は300ml程でしょうか。パック二つで十分濃い紅茶が出来上がりました。
そして先ほど同様にお酢を入れて行きます。また目分量で50mlくらい入れました。
そこにもう一度オピネルを投入してみると、ネスカフェのスペシャルTの時とは明らかに泡の発生量が違います。
30分もするとブレードに黒錆が形成されているようでした。
念のため1時間程待ってから引きあげます。
今度はうまく行きました。ムラもなくしっかり黒錆が形成されてます。
最初から素直にパックの紅茶でやれば良かったです。
水で洗い流して自然乾燥させた後に写真を撮ってみました。
裏側もしっかり真っ黒に色づいています。
お茶の濃さがポイントのようです。
ついでに投入したカーボン#7の方は元々黒錆加工してあった事もあって、あまり見た目の変化はありませんでした。
こっちのナイフは経年劣化で自然に黒錆化した部分もあるので、黒錆の膜がかなり深いです。もはやブレード全体が黒錆化してる感じでしょうか。
前回の黒錆加工からたしか3年位ガンガン使ってますが、何をしてもそうそう剥がれませんし赤錆も全く発生しません。
一方新品のカーボン#10の方は文字通り表面上に黒錆のコーティングが出来ただけなので、固い物に当たると剥がれそうな見た目です。
定期的な黒錆加工が必要になってくるかもしれないですね。
失敗もありましたが、これで黒錆加工のメニューは無事に終わりです。
久々にやりましたが割と簡単ですし特別な工具も必要ではないのがいいですね。
オピネルのカーボンブレードを普段からガンガン使うという方にも、キャンプの時しか使わないという方にも黒錆加工はおススメできるメニューです。
オピネルのオイル漬けの手順と方法
次はオピネルのオイル漬け、油漬けという作業をご紹介します。
これはオピネルのハンドルを油に漬けてコーティングする事によって、
新品のオピネル特有の刃の出し入れが渋くなる症状が防げるというメニューのようです。
たしかに今回購入した新品のオピネルですが、一度濡らしただけで本当にブレードの出し入れが渋くなってしまいました。出し入れの度に手を切りそうで怖いです。(乾燥させて手入れしたら直りました)
使い込んで行くと馴染んで気にならなくなるのですが、それまでの間かなり不便ですよね。
そこでオイル漬けの出番と言いたい所なのですが、調べてみるとオイル漬けをすることによって逆にハンドルを痛めたり不具合が出るのでは?とデメリットを心配する声も多かったです。
因みに私自身は今までオイル漬けはやった事がありません。
古いオピネルもオイル漬けなどは一切してませんが、
ブレードの付け根が馴染んできて(というか痛んできて)今ではいい感じの固さになってきてます。
どうなるのか実際にやってみた。オリーブオイルじゃだめ?
しかし今回、物は試しという事で実際に実験してみる事にしました。
モデルになるのは黒錆加工を終えた新品のオピネル#10です。
使う植物油はアマニ油などの乾性油を使うべきと散々書かれていたので
ドラッグストアでアマ二油と言う物を買ってきました。
意外と高く、700円以上したと思います。
教科書通り、ジップロックにアマ二油を入れて、そこにオピネルをブレードごと漬け込みました。時間としては24時間ほど漬けこむのが一般的のようです。
私はそこまで漬け込まなくてもいいかなと思い、6時間程で出しました。
その間は特にやることもなく、途中で一度ナイフをひっくり返したくらいです。
軽くオイルを拭き取り、一晩ほど乾燥させていきます。
ついでなのでカーボン#7の方を紙やすりで軽くお掃除してあげました。
そしてこちらも実験として、指でアマニ油を薄く塗りこんでやりました。
同じく一晩放置します。
結果、オイル漬けで不具合は出ないのか?デメリットは?
カーボン#10の方は艶々になり少し質感が良くなりました。
薄く塗りこんだだけのカーボン#7はほんのり艶が戻ったくらいです。
乾燥させてから数日様子を見ましたが、今の所特に問題はなさそうで快調に使えています。
ブレードもするすると動き、特に問題はなさそうです。
ただ当然ですがオイル漬けの作業をしてもハンドルが完全防水になる訳ではないので、
極力濡らさないように気を付けようと思います。
もちろんハンドルをじゃぶじゃぶ洗ったり、洗い桶に漬けておくような使い方もしない方がいいと思います。
私は実験的にオイル漬けを行いましたが、トラブルの原因になるのではないかとも言われているのでやる時は良く考えてトライした方がいいですね。
個人的にはわざわざやらなくてもいいかなと思いました。
余談ですが、私はアルテレニョのカッティングボード(まな板)も持っているのですが、そちらの方はオリーブオイルを薄く塗って放置した後に拭きあげる行程を行っています。
アルテレニョのカッティングボードは放置しておくと白っぽくなってくるのですが、たまにオイルを塗ってやると一気に艶が戻ってきます。
ただオリーブオイルはいつまで経っても割とベタベタなので、オピネルのオイル漬けには向かないかもしれませんね。
黒錆加工 まとめ
- ナイフは分解しなくてもOK
- 紙ヤスリなどでナイフの汚れや錆びを落とす。
- 洗剤やパーツクリーナーで洗い、油汚れを落とし脱脂する。
- パックの紅茶で濃い目の紅茶を入れて(約400ml)次に酢を入れる(100ml)
- 紅茶の濃さがポイント!
- ブレードを漬け込み1時間程放置。
- 引き上げた後、水洗いし乾燥。
- ほどなくして黒錆加工完成!
オイル漬け まとめ
- 推奨されている方法ではない。
- やる場合はオリーブオイルではなくアマニ油やクルミ油などの乾性油で。
- オイル漬けしたからと言って完全防水になる訳ではない。