使い捨てカイロと異なり、ゴミを出さずに何度も繰り返し使えるエコなカイロ、ハクキンカイロをご存知でしょうか。
約100年前に開発されたハクキンカイロは、今もキャンパーをはじめ、世界中の人に愛されています。
しかし心配なのが、ハクキンカイロが原因で、火事などが起きる危険性がないかです。
今回はハクキンカイロが、どのような仕組みで発熱しているのか、火事になる可能性はないのかをご説明します。
これを読む読者様が安心してハクキンカイロを使用できるよう、注意点についてもご紹介します。
ハクキンカイロをこれから購入しようとしている方も、既に使っているという方も、ぜひチェックしてみてください。
※当サイトはアフィリエイト広告を利用しています
ハクキンカイロが発熱する仕組みは?
燃料はベンジン
ベンジンとは、原油から精製された可燃性の液体です。
用途によって呼称が変わり、ガソリンやホワイトガソリンとも呼ばれます。
ガソリンといえば車の燃料、ホワイトガソリンといえばキャンパーにはお馴染みで、バーナーやランタンに使われる燃料です。
意外と思われるかもしれませんが、ベンジンはガソリンと大体同じ成分なのです。
ちなみにベンジンはホームセンターやドラッグストア、薬局などで販売されています。
火をつけて発熱している訳ではない
ハクキンカイロが発熱する仕組みは、燃料のベンジンが揮発して、酸化することによって得られる酸化熱をカイロに利用しているため。
酸化熱をカイロに利用するという点では、使い捨てカイロも同じです。
使い捨てカイロは鉄粉に活性炭を混ぜ、酸化反応を早めるために塩水をかけたもの。
使用者がカイロの封を切ることで鉄粉が酸素に触れて、酸化(錆びる)する際に発生する酸化熱で、発熱しています。
ハクキンカイロが使い捨てカイロと異なる点は、ベンジンの酸化にプラチナ触媒を利用していること。
ハクキンカイロの火口にはプラチナ触媒があり、揮発したベンジンと触れることで酸化を促し、発熱させています。
なぜ火口に火を近付けるの?
ハクキンカイロを発熱させるためには、火口にマッチやライターの火を近付ける必要があります。
これはプラチナ触媒を温めるための行為で、温度が高くなったプラチナ触媒は、ベンジンの酸化反応を早める効果があります。
火を近付けるのは、あくまで火口を温めるためであり、ベンジンに着火させている訳ではありません。
ハクキンカイロの正しい使い方
ハクキンカイロが原因で、火事や事故になる可能性は低い
物質は「燃焼の三要素」が揃わないと燃えない
まず、物が燃えるための条件を説明します。
物質が燃えるためには、燃焼の三要素が揃わなければいけません。
その三要素とは、「可燃物」・「酸素」・「熱」この三つのうち、どれか一つでも欠けると、物が燃えることはありません。
そして三要素のうちの一つ「熱」は、物によって必要な温度が異なりますが、意外とこの必要な温度が高いのです。
燃えやすいイメージの紙でも、一般的に300℃以上の熱が無ければ、燃えることはありません。
これがハクキンカイロを仕舞う衣類の布などは、さらに高い温度が必要になります。
つまりハクキンカイロから発生する熱で、燃焼の三要素で必要な「熱」の温度に到達することは、ほぼ無いのです。
ハクキンカイロの表面温度は、どんなに高くなってもせいぜい60~70℃ほど。
人間が温かいと感じる温度では、物質が燃えるには温度が足りないのです。
ハクキンカイロの表面温度だけで火事になるということは、とても可能性が低いです。
点火の際のライターやマッチの火には注意する
前述したとおり、ハクキンカイロを発熱させるためには、火口を温める必要があります。
その際に使用するライターやマッチの火は、取り扱いに充分気を付けなければいけません。
ハクキンカイロ自体が原因で火災が起こる可能性は低くても、火を使う作業での火災は起こり得ます。
火を使う際は燃えやすいものが周りにないか確認し、万が一引火した場合にすぐ消火できる準備をしましょう。
ハクキンカイロによる、低温火傷に注意する
ハクキンカイロを使う際に注意しなければいけないのは、火災だけではありません。
温かいものを長時間皮膚にあてることによって、低温火傷になることにも注意しなければいけません。
低温火傷は、体温より高いもの(40℃以上)に長時間触れると、皮膚の深部まで熱がじっくり進行し、普通の火傷よりも治りにくい状態になってしまいこと。
低温火傷になる目安は、50℃のものなら約3分間、40℃なら約6時間触れ続ける状況が危険とされています。
ハクキンカイロだけに限った話ではありませんが、温かいものに長時間触れ続けるのは、とても危険な行為なのです。
ハクキンカイロを使用する場合は、付属のフリース袋に入れて温度を和らげたうえで、時折カイロを当てる位置を変えることで、低温火傷を防止することができます。
燃料のベンジンは、取り扱いに気を付ける
火気厳禁
ハクキンカイロの燃料であるベンジンは、前述の通り原油を精製した液体で、消防法による分類は第4類。
これは引火性液体という扱いで、ガソリンや灯油も同じ第4類です。
ガソリンスタンドで「タバコを吸いながら給油してはいけない」と言われているように、ハクキンカイロにベンジンを注油する際も、タバコを吸いながらは絶対にNGです。
ベンジンのラベルにも必ず記載があるので、よく注意しましょう。
タバコのような火気の他に、静電気でも発火する恐れがあります。
静電気を発する電子機器の側や、上着などの衣類を着たり脱いだりした直後は、特に静電気による発火の危険があるので注意しましょう。
屋外や換気の良い場所で注油する
ベンジンは揮発性が高いため、密閉された屋内で取り扱うと、揮発したベンジンが空気中に漂い、誤って吸い込んでしまうことがあります。
ハクキンカイロにベンジンを注油する際には、屋外や換気の良い場所で作業し、誤って吸い込まないようにしましょう。
万が一吸い込んで気分が悪くなった場合は、空気の新鮮な場所に移動して、呼吸がしやすい体勢で休むことが重要です。
ゴム手袋を装着する
ベンジンが皮膚に付着すると、皮膚が炎症を起こす場合があります。
ハクキンカイロにベンジンを注油する際は、ベンジンが肌に直接触れないように、ゴム手袋を装着することをおすすめします。
万が一皮膚にベンジンが触れてしまった場合は、水と石けんを使って洗い流しましょう。
皮膚に炎症が出た場合や、もし飲み込んでしまったり目に入った場合は、すみやかに医師の診断を受けましょう。
ハクキンカイロは正しく使えば、火事やなどの危険はない
ご紹介したとおり、ハクキンカイロが原因となって火事が起こる可能性は、限りなく低いです。
しかしライターやマッチを使う際に、誤って燃えやすいものなどに引火してしまうことが考えられます。
火を扱う際、充分に気を付けていれば、火事などの心配はないでしょう。
ハクキンカイロを使う際は、低温火傷や、ベンジンを原因とした怪我に注意しましょう。
特にベンジンはガソリンと同じように扱うことを心掛けましょう。
ハクキンカイロに注油をする際は、火気が側にある環境を避け、静電気にも充分気を付ける必要があります。
これらのことに気を付けていれば、ハクキンカイロを使用するにあたって危険なことはありません。
キャンプなどのアウトドアシーンで、きっとハクキンカイロは役に立つはずです。
ハクキンカイロを正しく使う事を心掛け、寒い季節を乗り越えましょう。